
読者に、未来の残酷さとの対決をせまり、苦悩と緊張をよびさまし、 内部の対話を誘発することが出来れば、それでこの小説の目的は一応はたされたのだ――著者 現在にとって未来とは何か? 文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か? 万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して事態は急転直下、つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、やがて機械は人類の苛酷な未来を語りだすのであった……。 薔薇色の未来を盲信して現在に安住しているものを痛烈に告発し、衝撃へと投げやる異色のSF長編。 著者の言葉 未来は、日常的連続感へ、有罪の宣告をする。この問題は、今日のような転形期にあっては、とくに重要テーマだと思い、ぼくは現在の中に闖入してきた未来の姿を、裁くものとしてとらえてみることにした。日常の連続感は、未来を見た瞬間に、死ななければならないのである。未来を了解するためには、現実に生きるだけでは不充分なのだ。日常性というこのもっとも平凡な秩序にこそ、もっとも大きな罪があることを、はっきり自覚しなければならないのである。 (本書「あとがき」)