すでに秋を思わせる涼風が立ち始めていた高原で、「私」は節子と知り合う。彼女はすでに重い肺結核にかかっていたが、2年後の春、「私」は節子と婚約した。ヴァレリーの「風立ちぬいざ生きめやも」という詩句がなぜか、「私たち」の心の言葉のように思われた......散文で描かれた最も純粋な詩と称えられたこの「風立ちぬ」と精神的危機からの脱皮を描いた「美しい村」の、堀辰雄の代表作2編を収録。