自らも癌を患い、闘病の末に克服した作家・ 沖田正午にしか書き得なかった、 葛藤と決意が胸を打つ傑作時代小説! 人気にかげりが見えてきた戯作者・浮世月南風は、ある日、名医・ 杉田玄白から突如「もってあと一年の命」と宣告される。 肝の臓に、悪性の腫瘍が出来ているというのだ。 このまま朽ちるのを待つかと自暴自棄になるが、 昔から世話になっていた版元の一声により奮い立ち、 一世一代の傑作を執筆することを決意する。 そこで浮かんだのは、かつて愛し、 しかし去っていった女が残した一言だった。 「あなたには『****』が足りないの——」 自分に足りない物とは、果たしてなんだったのか。 その言葉を聞き直すため、そして愛しい女に再び出会うため、 南風は命がけの旅に出る——!
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